余命10年の記録

私の家系で70歳まで生きた男はいない。あと10年。

哲学

 哲学というのは自己や宇宙、真理、道徳に付いて深く考察する学問だ。高校では倫理という科目がそれにあたる。

 若い頃に哲学を学んでも何を言っているのか皆目わからないのが普通だと思う。「わかる」という若者がいるとすればその若者は自己の心奥を否応なく覗かなければならない時が過去にあったか、哲学的な探求に慣れているかのどちらかだろう。

 哲学がわかる、あるいは学んで楽しいと思えるようになるのは自分の経験に照らせば40歳を過ぎてからだった。早いひとでも30歳前後だったと聞いたことがある。自分の場合はそれまでに何度か折に触れて読んだが肚に沁みてくる感覚は全くなかった。方法序説プラトンなど理解できれば面白いものだが、それを貪ることはない。一回理解すれば充分だと思う。